ビーバーはアメリカ大陸とヨーロッパ大陸に広く生息する、ダムをつくることでも有名な動物です。
シルクハット(トップハット)はもともとはビーバーの毛皮でつくられていました。17世紀に作られたこの帽子は、長い間紳士の必需品で、また肖像画でみかけるナポレオンの帽子もビーバーのフェルトでつくられるなど、高級素材として広く流通していました。19世紀前半までビーバーの乱獲が続き、その数は絶滅寸前まで減少してしまいました。
その後イタリアでシルクを使った帽子が考案されると、ビーバーの毛皮は徐々に使われなくなり、アメリカやカナダでは保護法が制定され、ビーバーが乱獲される時代は終わりました。
今日では養殖されたビーバーを中心に条約で決められた数だけ毛皮が生産されています。
かつてのビーバーの毛皮を求める行動が、欧州の人々の北米への進出を加速させた一面があり、このことからカナダではビーバーを国獣としています。
ビーバーの毛皮は褐色の硬い刺毛の内側に、白く柔らかい綿毛が密生しているのが特徴です。そのため、硬い刺毛は除き、綿毛を中心に使われることがほとんどです。
とてもなめらかで上品な風合いを持ち、耐久性も非常に高いことから多くの服飾品として活躍しています。
加工や着色をしやすい利点もあるため、毛皮として活用される他にもニット編みの技法を使い、カジュアルな風合いに仕立てたものも人気があります。
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